2019年03月24日
今や日本企業におけるグローバル化は、最重要課題となっています。
日本企業の海外進出は資金力のある大手企業に限った話ではなくなり、中小企業も海外進出しなければ生き残れない時代になりつつあるのです。
そのために必要になってくるのが、現地の事情をよく知っている現地の人材を確保することです。
ここでは、海外進出するために活躍してくれる外国人を現地採用する際に知っておくべきことについて、詳しくお話ししていきたいと思います。
海外の人件費のコストはどれくらいなのか把握しておく
現地の人材を雇用する際にまず知っておくべきなのが、人件費はどれくらいになるのかということです。
日本貿易振興機構(JETRO)による各国の人件費を比較した表が、以下のものになります。
出典:JETRO投資コスト比較:https://www.jetro.go.jp/world/search/cost.html
このデータによると、東南アジアや中国、中東の地域の人件費は、日本と比較して非常に安いということがわかります。
ところが、今の時点では人件費が安くても、今後どうなるかはわかりません。
JETROによる別のデータ「アジア・オセアニア進出日系企業実態調査」によると、パキスタンやインド、ミャンマー、インドネシアなどの国では、ここ2、3年で毎年10%前後、中国やフィリピン、マレーシアなどでは5%前後人件費がアップしています。
https://www.jetro.go.jp/ext_images/_News/releases/2016/a8e57d548852f070/report.pdf
これらの高度経済成長が続く国での人件費の高騰は今後も続くと考えられますから、海外進出の資金を計画する際に考慮に入れておく必要があるでしょう。
現地の商習慣、宗教や文化の違いを理解する
現地の人材を採用する際に非常に重要なのが、各国の商習慣、宗教や文化の違いをしっかりと理解しておくということです。
例えば、アメリカでは一つの企業に定年まで勤めるという習慣がなく何度も転職するのが普通で、アメリカ人の平均の転職回数は8回とも言われています。
そのため、長く雇用するためには、仕事の成果に応じた収入アップや昇格を提示するなどの具体的な提案が必要です。
それができなければ、すぐに他の条件の良い企業に優秀な人材が流出してしまうでしょう。
日本企業に古くからある、この企業に育ててもらった恩があるなどという概念は皆無ですから、注意しなければなりません。
日本では転職回数が多いことがデメリットと考えられがちですが、アメリカではそうではないということを採用の判断の際に事前知識として持っておくべきでしょう。
宗教的な側面からも、注意すべきことは数多くあります。
イスラム圏ではラマダンと呼ばれる日の出から日没までは一切飲食をせず、日没後に家族と食事を摂るという習慣があります。
そのため、イスラム圏で人材を確保する際には、ラマダンの日には日没後にすぐに家に帰って食事ができるように朝早くから出社することを許容するなどの対応も必要になるでしょう。
イスラム教徒はキリスト教徒に次いで人口が多く、今後はキリスト教徒の人口を追い抜くとも言われています。
中東の国々は日本にとってエネルギーなどで重要なビジネス相手国ですから、ムスリムをビジネスパートナーやクライアントとしてビジネスを行う機会は今後増えていくでしょう。
そのため、イスラム教徒の慣習や文化について深く理解しておくことは、海外進出を進めるうえで非常に重要です。
このような現地の商習慣、宗教や文化の違いを理解することはとても困難ですが、現地の人材を採用するためには必ず必要なことです。
外国人を現地採用する前に、国によって異なる商習慣や宗教、文化の違いを理解してビジネス環境を整えるようにしましょう。
現地のネットワークのハブとなる人材を確保する
海外に進出するためには現地の人材を誰でも良いから確保すれば良いというわけはありません。
現地で展開する事業と同じ分野で活躍している人材が望ましく、その事業を展開していくために必要な現地のネットワークを握る人材を得ることができれば、海外進出が成功する可能性はかなり高まるでしょう。
例えば、食品メーカーが海外に進出したいのであれば、現地の食品メーカーに勤務している人材を確保するのです。
そうすれば、現地で原料を調達するためのネットワークや物流拠点、販路、その国のニーズなどの情報を得ることができます。
海外で事業を展開するためには、現地のネットワークをいち早くおさえることが最も重要です。
そして、そのためには、現地のネットワークのハブとなって実際に活躍している人材を獲得することが近道になるのです。
協業するパートナーを見つける
海外の人材を確保するためには、現地の人件費のコストを知る、その国の商習慣などについて知る、そして、同業他社で活躍している現地のネットワークのハブとなれる人材を獲得する必要があることがわかりました。
ところが、これらの現地の情報を日本企業が一から把握して動くのは困難です。
海外で人材を得られたとしても、その人材が上手く現地との橋渡しをしてくれるだけの実力があるとは限りません。
それだけの実力を備えた人材を確保するためには、現地の同業他社で活躍している人材をヘッドハンティングするのが一番の近道であり、確実な方法です。
そこで必要になってくるのが、現地で協業できるパートナーを見つけるということです。
日本企業側の細かいニーズを理解した上で、どの企業にどのような人材がいるか、どの人材がニーズに適しているかを探りヘッドハンティングを請け負ってくれるパートナーがいれば、海外進出はより確実なものになるはずです。
信頼できる現地のパートナーを見つけることこそが、海外進出を成功させるための出発点になると言えるでしょう。